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![]() 焼酎の世界では唯一の「杜氏の里」として知られる鹿児島県南さつま市笠沙町黒瀬地区。 明治の時代、黒瀬から三人の若者が沖縄に渡り、泡盛の製造技術を学び戻ります。この技術を持って黒瀬の地から九州各地の焼酎の蔵に杜氏・蔵人として出かけました。やがて焼酎造りの一切を任されるようになり、『黒瀬杜氏』と呼ばれるようにまりました。 一方、泡盛の麹菌から焼酎に適した黒麹菌が誕生し、鹿児島で長く使用されていた日本酒に用いる黄麹よりも、製法が安定し、良質な焼酎が出来るため、黒瀬杜氏と共に九州各地に広がりました。やがて大正の時代に入ると、芋焼酎に最適な白麹が発見され、製法も、品質も格段に安定しました。そして、呑み易い焼酎と評価され、鹿児島のいも焼酎も全国へと普及していきます。 ![]() 鹿児島県の北西に位置し、鹿児島空港から車で一時間半から二時間ほど行った阿久根に蔵があります。 H28年に黒瀬杜氏伝承蔵として名称変更。阿久根工場と表記していると、工場が複数あって大きな蔵元と勘違いされてしまったりしたことなどが理由なのだそうです。 目の前にはJR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」や肥薩おれんじ鉄道の観光列車「おれんじ食堂」を手掛けた工業デザイナーの水戸岡鋭治さんにデザインされた阿久根駅があり、まちの迎賓館や公民館といった位置づけで地域に愛されています。 ![]() 芋は蒸すより焼いたほうが美味い!というところから、その焼きいもの美味しさを焼酎に詰め込もうと黒瀬杜氏が始めて開発した“焼いも”焼酎。 一回に焼ける量が80kgと小さな焼いも器4台をフル活用、火が強すぎても焦げてしまい、弱すぎても香りが出ないため、造りの時期は3交代の24時間体制で休むことなく焼き続けます。 以前、業者さんが冷凍の焼いもの提案に来たそうなのですが、黒瀬杜氏は一蹴。実際に食べてもらったら納得して帰られたという話もあり、やきいもへの情熱を感じさせられました。 ![]() ![]() ![]() 焼いも焼き器と同じ部屋にある蒸留器たち。 ![]()
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